24時間テレビへの寄付は100%地球を救うのか?
24時間テレビ。出演者に高額ギャラが支払われてチャリティー活動としての意義を問われている中、系列局による募金横領(8年間)が発覚。そしてよせばいいのに「愛は地球を救うのか?」という誤解を煽るようなサブタイトルを付けるなど、自らつけた信用の傷口に塩を塗るような行動に出ました。
しかしそれをもって、24時間テレビを善意ピンハネ番組と捉えるのは陰謀論者に踊らされる浅はかさなのかもしれません。実は2013年12年1日、活動の透明性を高めるため、彼らは公益社団法人24時間テレビチャリティー委員会を発足させていました。そして、その公式サイトで「経費を差し引くことなく、支援活動に活用」と公言しています。この宣言は2014年6月14日時点の公式サイトで既に確認できます。つまり、昨年2023年に発覚した不祥事を機に是正したとかではなく、少なくとも10年以上前から一切ピンハネをやっていないのでした。
なぜあの水卜アナによる謝罪放送の時、その肝心なことには一切触れず、ヘンなサブタイトル発表ショーにしてしまったのかは、理解に苦しむところです*1。
当研究所は今年、100%寄付の同人誌を頒布
私達は、金沢の大学や研究スタッフ、学生とも繋がりのある研究活動をしていたため、今年元日に発生した令和6年能登半島地震を受けて、何かしらの支援できないかという思いが強まりました。そこで当研究所(同人サークル)としては、本の売上(厳密には頒布で預かったお金)を被災地域に寄付するという活動を企画しました。
印刷代を低く抑えられる2月に本を製造して活動を開始し、8月18日のコミティア149で用意した分がすべて無くなった(頒布完了した)ため、改めて活動のまとめと報告をします。
売り方(頒布方法)と結果
詳しいことは前回の記事で書きましたのでここではおさらい程度に記すことにします。
チャリティー本として頒布した本は、「先生、わかりません!(1.3版)」
という本です。これは、大学の授業で実際にあった、UNIX系OSにおける初歩的な質問やミスを綴った本です。UNIXビギナーにとってみれば典型的な躓きポイントとして参考になる内容ですし、上級者にとってみても入門者を指導するにあたって彼らがどこで躓くか、そしてどう教えるべきかが予めわかるという意味で便利な本だと思います。
そして、これを頒布する際には次の三つのルールを設けました。
- 経費を差し引くことなく、「全額寄附」と明言
- 購入者が価格を決められる(募金もそうだから)
- 0円でもいい(他所で寄付する or したなら)
「経費を差し引くことなく」というルールは、今の24時間テレビと同じですね。そして3番目のルールは今回のチャリティー企画における最大の特徴です。購入額(=寄付金)をうちに託してもらっても残念ながら(2014年以降の24時間テレビのように)寄付金控除は受けられないですし、そもそも最終的に被災地域に届けばよいわけですから、うちを経由させる必要もないというのが理由です。逆に少しでも話題性を持たせて、寄付行動を促せればとも思いました。
そして、活動の結果です。もし、ルール2が裏目に出ていれば*2原価を下回る金額しか寄付金を集められないことになってしまって、本なんか作らずに印刷代金分を直接寄付した方が効率的だったからです。
ふたを開けてみれば、この本の最終的な売上高(=寄付総額)は102,850円(通販やPDF版の注文分も含む)。印刷代は27,440円だったため、最初に投じた寄付金の原資(=印刷代)が3.75倍になった計算です。
イベント会場で買ってくれた来場者の皆さんがいくらずつお金を出してくださったのかもまとめました。前回の記事で報告した理由により、夏コミでは会計毎に寄付額を記録していたのですが、1週間後のコミティア149でも同様に記録したため、両イベントで集計しなおした分布図を掲載します。
購入者数は両イベント合わせて51人で、購入額(=寄付額)の平均値は1,028円、中央値は1,000円でした。1,000円札1枚、次いで500円硬貨1枚という方が多かったです。その次は、他の本(チャリティーではない本)を買ったお釣りを寄付額(200円、300円)にしたり、それだと心もとないといって別途1,000円を追加したりという方が多かったように思います。中には、「趣旨を理解しました」といって、5,000円、3,000円など、本の元値を大きく上回る額を寄付してくださった方もいました。
一方、これは夏コミとコミティア149のみならず、2月の頒布開始から無くなるまでを通しての話ですが、0円という方は1人だけでした。趣旨を理解しつつも、商品に見合った金額を払わないことに抵抗を感じる人が多かったという印象です。私も逆の立場だったらきっとそうだと思います。
チャリティー企画に参加してくださった皆様、ありがとうございました。
8月29日、寄付のため、石川県東京事務所へ訪問
令和6年能登半島地震に係る石川県への災害義援金の寄付方法は、石川県の災害義援金受付情報ページ
に記載されています。それによれば全国の金融機関から銀行振込によって寄付することができます。しかしながら、本件では本を購入された皆さんに対して預かった寄付金を全額寄付したことを証明する責任があると考え、それが確実に行える窓口の一つである石川県東京事務所に行ってきました。
石川県東京事務所訪問記
以下、写真主体で報告します。
寄付した事実は、第三者も確認できる
当研究所が寄付した事実は、先ほど紹介した石川県災害義援金受付情報ページ内の「(2)義援金をお寄せいただいた方々」の中で近日中に公開される見込みです。
9月5日追記
公開されました。
令和6年(2024年)能登半島地震に係る災害義援金の受付について > 「1 義援金の受付状況について」 > 「(2)義援金をお寄せいただいた方々」 > 「[PDF]義援金をお寄せいただいた方々(確認順6,001から)」
のリンク先の11,801番です。お確かめください。
通常あ版の「先生、わかりません!」本は値下げして頒布中
「先生、わかりません!」のチャリティー企画は終了ですが、能登半島地震からの復興はこの先何年もの月日を要するでしょう。ですから、今後も何らかの形で支援を続けていきたいと思っています。そのためにも、通常の活動が重要だと考えますので、最後に本の宣伝をします。
この記事で話題にした「先生、わかりません!」には実は、通常版が存在します。チャリティー企画が終了したため、通常版(1.2版)の頒布を再開しています。1.2版は、チャリティー版(1.3版)に比べると本文で紹介しているUNIXビギナーのつまずきポイントの数が若干少ないのですが、追加料金無しで配布している電子版を1.3版(つまりチャリティー版)にしました。とはいえ、冊子は1.2版であることに代わりないため、頒布価格を100円値下げしました。
UNIXビギナーにとっても上級者にとっても参考になるつまづきポイントが多数記述されているので是非一冊いかがですか?
「先生、わかりません!(通常版)」購入フォーム
(書影は1.3版)
先生、わかりません!(冊子1.2版+PDF1.3版)
2024年2月25日 発売(1.3版の日付)
頒布価格: 700円→600円(PDF単独は300円)
A5版・76ページ(1.3版のページ数)
カゴに入らない方は、お手数ですが本店ページでお求めください。
夏コミ新刊「逃し弁コマンド」購入フォーム
この場を借りて、夏コミ(C104)の新刊も紹介しておきます。
これは、標準入力から勢いよくデータが到来した場合に、それが一定以下の流量になるように一部のデータを別のファイルディスクリプターに逃がす(または破棄する)というコマンドを作った話と、その使い方や実装アルゴリズムを解説した本です。
「逃し弁コマンド」
2024年8月12日 発売
頒布価格: 500円(PDF単独は200円)
A5版・44ページ
こちらもカゴに入らない方は、お手数ですが本店ページでお求めください。